脊椎圧迫骨折に対する誰でもできる早期リハビリテーション

これまで過去に脊椎圧迫骨折後の原因や治療について記事を書きました。

今回は脊椎圧迫骨折後のリハビリについてです。

リハビリといっても幅が広いので、今回は受傷後早期から行える低負荷で患者さん一人でも行えるリハビリについて説明をします。

 

 

脊椎圧迫骨折後のリハビリの基本的な流れ

腰椎圧迫骨折

腰椎圧迫骨折

治療は多くが保存療法となります。
コルセットによる外固定を行い、患部にストレスがかからないように注意をしながらリハビリを進めてゆきます。

もし、BKPのような手術を行った場合にも多少注意点は違う点がありますがリハビリの流れは基本的には同じになります。

※「BKP」についてはこちらの記事を参照

受傷後は骨癒合するまでコルセットは基本は3ヶ月は装着しておくことが望ましいです。コルセットの外してもよい時期に関しては医師による定期的な診察で相談しながらとなります。

コルセットの種類も骨の状態によって軟性コルセット(柔らかいもの)か硬性コルセット(硬いギプスみたいなもの)があります。これも医師の判断によります。

入院に関しては通常の日常生活ができれば退院となりますので、人によっては入院は数日ということもあります。
理学療法士による直接の指導の元で行うリハビリは、数回しかない場合があります。

つまり、リハビリは「退院後自分で行う」ということが大切になってきます。

とはいっても受傷して間もない期間(コルセットで固定している期間)のリハビリは患者さんは非常に不安だと思います。

なにをするべきでなにをしてはいけないのか?
一人で無理に動いてまた骨折部が悪くならないか?

もちろん受傷早期は脊柱の安静が基本でありダイナミックな運動は避けるべきですが、その安静期間中でも行えるリハビリがあります。

 

ポイントは脊柱の「生理的S字カーブ」を維持させることです。

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今回は自分でも簡単にできて、身体に負担の少ない呼吸運動を紹介します。

 

なぜ呼吸なのか?

呼吸は運動です。普段は何気なく行っている呼吸ですが、呼吸運動をすることは立派な筋トレでありリハビリになります。

理由としては、呼吸はいわゆるインナーマッスルと言われる体幹深層筋を使う運動だからです。

体幹深層筋とは具体的には横隔膜・腹横筋・骨盤底筋群・多裂筋などの筋肉です。
これらのバランスが大切なのですが、呼吸運動を適切に行うことでこれらの筋肉を鍛え、かつバランスを整えることができます。

脊椎圧迫骨折後は脊椎が変形してしまうことが多いです。

後弯といって猫背のような背骨が丸まったような姿勢になりやすい傾向にあります。本来の脊柱の生理的S字カーブが崩れてしまい二次的に色々なトラブルを引き起こす可能性があります。

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体幹深層筋は脊椎と直接繋がっている筋肉で、これを鍛えると脊柱が安定化しやすくなります。また脊柱の生理的S字カーブも維持するにも非常に大切な筋肉です。

では呼吸運動はどのようにすればいいのでしょうか?

 

呼吸(腹式)運動の方法

姿勢:仰向け(コルセットを装着した状態のまま)
※慣れてきたら座位や立位でもOK.

呼吸方法:鼻から息をすって口から吐く

意識すること:吐くときに下腹部を凹ませてゆくようにして息を吐き切る。

注意:1回の呼吸ごとにゆっくりと行う。特に吐くときにゆっくりと。
吸う時間の2倍が目安。
*3秒で吸うなら6秒かけて吐く.

最初は上記の方法でよいと思います。

回数は特に制限はありません。ポイントはゆっくり行うことでそれさえ守ればやりすぎることはないです。
連続して何回も行わずに5回を1セットとして3セット程度行えばよいかと思います。

慣れてきたら以下のポイントを意識するとより効果的です。

 

【参考】腹式呼吸について動画を用いて説明した記事

【腹式呼吸の基本的な方法とコツ】呼吸はリハビリにも使える素晴らしい自主トレーニング

2016.04.24

 

 

息を吐く際に腰が丸まらないようにすること

呼吸運動.002

先述したように、大切なのは
脊柱の「生理的S字カーブ」を維持させることです。

息を吐くときにはどうしても最後のほうで腰を丸めたくなります。
しかし、これは腰椎の生理的前弯が減少した状態になってしまいますので腹直筋などのアウターマッスルを過剰に使ってしまっている可能性があるのです。

呼吸運動.001

コルセットをした状態で行いますので、それほど気にしなくても大丈夫なのですがこのポイントを意識をするとより効果的に体幹の深層筋を鍛えることができます。

 

上下に伸びるイメージをもつ

息を吐くときに体が丸まるのではなく上下に伸びながら息を吐いてゆくというイメージをもつとよいです。
こうすると息を吐くにつれてお腹がぺちゃんこになったような感覚になり、実際にコルセットと自分のお腹の間に手のひらが入るほどの隙間ができます。

最初はよくわからないと思いますが、イメージを持って行うことは大切です。

実はこの上下に伸びる感覚はピラティスから学んだ「エロンゲーション」
と呼ばれるものですが、非常に重要なポイントです。

【関連記事】ピラティスとは?

エロンゲーションはあらゆる場面で有効ですので是非取り入れることをオススメします。

 

 

まとめ

脊柱圧迫後のリハビリとして受傷早期からでも行える呼吸運動について説明をしました。

受傷後は痛みも不安も強い状態ですので、できれば運動はしたくないといった精神状態かもしれません。
しかし、脊柱の変形予防のために少しでもよいので行っておくと今後の身体機能の改善がスムーズにゆくのではないかと思います。

呼吸運動は疾患関わらず幅広く有効なリハビリの手段となりますので、是非覚えて頂くとよいかと思います。

16 件のコメント

  • 内科で肺炎の治療に出かける準備の為に布団から立ち上がる際、高熱のためか、力がなくて立つ事ができずに尻もちを着き腰と背中に激痛がありました。家族が異常を感じ、救急車を要請して搬送されました。病院では点滴注射等の処置をしながら検査が続き、1人部屋で6日、大部屋に移動して5日間の入院でした。途中医師から圧迫骨折がある事を告げられ、コルセットを渡されて軽いリハビリを5回行いました。無理せずに安静にして回復を待つしかないと云われております。しかし、退院して38日間、コルセットを頼りに体勢に注意しながらの生活で、体力はついた気はしますが時折り強い痛みに悲鳴を上げています。この痛みはまだ続くのでしょうか? 退院が嬉しくて圧迫骨折を軽く考え、詳しい話も聞かなかった事を後悔しています。   入院以来休んでいたヨーガを明日から少しづつ呼吸法から始めようと思いますが、注意事項等ご指導下さい。
    身体は柔らかく骨粗鬆症検査も良い結果が出ています。
            76歳女性

    • AH様

      こんにちは。

      腰の痛みは徐々に落ち着いてくるとは思いますが、痛みにはアップダウンがありますので不安になってしまうかもしれませんね。

      基本的には3ヶ月程度はコルセットをしっかり巻いて患部を保護しながら少しずつ運動も開始すれば良いと思います。

      ヨガをされているのであれば、ヨガの呼吸方法はとてもよいリハビリになると思います。

      ただし、おなかを膨らませる腹式呼吸の場合はコルセットがあるとやりづらいです。

      仰向けでフラットな状態であればコルセットは緩めてもいいかと思いますので、仰向け姿勢で腹式呼吸をしてみてはいかがでしょうか。

      •  早速の返信を嬉しく拝見しました。

        痛みにはアップダウンがあるとお聞きして実感しました。
         昨日はとても辛くて横になる時間が多くて心配でしたが、今日は傷みが少なく気分が良いので、簡単な家事をこなしています。
         
         安心してヨーガの呼吸法から始めて、徐々に体力をつけていきます。3か月程度でコルセットが外せるかと希望も湧いてきました。   有難うございました。

        • 良かったです(^ ^)

          痛みがあるとどうしても気持ちも沈みがちになりましが、あまり気にしすぎないことも必要だと思います。

          このあたりは難しいところですが。。

          少しずつ頑張ってくださいね。

  • 高校三年生男子体育館二階から転落 第9.11.12胸椎 第1.2腰椎を圧迫骨折 臀部打撲で入院3日目です。(ギブス)鎮痛剤で痛みをコントロール中
    病院は自宅でも過ごし方は一緒なので、若いから〜若いから〜といい退院を進めます
    自宅療養中にリハビリに通わなくても日常生活だけで良いのでしょうか?
    受験生でもあり早く椅子に座り授業をうけられるように筋力をもどしてあげたいのです アドバイスお願いいたします。

    • かずい様

      コメントありがとうございます。

      確かに若いので、コルセットを使用していれば転んだり転落したりするなど強い衝撃が加わらないように注意をすれば基本的には大丈夫ではないかと思います。

      ただし、どうしても多少は姿勢が猫背の方向に変化してしまいやすくなるので、背筋のトレーニングなどを痛みが落ち着いてきたら行って頂くとよいかもしれません。

      受傷直後は、痛みが強いので無理はしないようにしてください。
      筋肉が痛みで緊張してしまいがちですから、腹式呼吸をリラックス目的で行う程度でよいかと思います。

      http://www.pt-pilates.info/?p=4501
      上記の記事はトレーニングをまとめてあります。
      ヘルニア向けに書いていますが、腰が丸まらないようにするという点では注意点や目的は同様ですので参考にしてみてください。

  • おたずねします。66歳女性です。昨年4月、17kgの物を持ち上げ、腰椎圧迫骨折をしてしまいました。今はずっとコルセットを使用しています。昨年、両膝の人工関節置換術を受けており、歩き方も悪いのか、コルセットをはずすと体が不安定になるのを感じます。また、2年前に、自己免疫性肝炎で緊急入院。その時からステロイドを服用しています。整形外科の担当医師からは、腰椎の手術はできないと言われました。今は、激しい痛みは治まっていますが、圧迫骨折をした部分の骨は、少しは治っていくのでしょうか?コルセットは、どのようなタイプの物がいいのでしょうか?呼吸法とか、チューブを使った自己リハビリをトライしてみようと思います。
    よろしくお願いします。

    • 匿名様

      コメントありがとうございます。

      コルセットをされているとのことですが、そのコルセットは4月の受傷時に医師の診察によって処方されたものなのでしょうか?

      受傷して間もない時期は硬性コルセットという硬いタイプの物を使用することが多いです。

      しばらくして(3ヶ月程度)骨折部が安定してこれば、柔らかいタイプのコルセットに変更してゆくこともあります。

      ステロイドを使用されていることで、骨が弱くなっている可能性があるので、運動はやや慎重にされたほうがいいかもしれませんね。

      最初は呼吸法から始められるとよいかと思います。
      腹式呼吸だけでもよいです。
      チューブを使用した運動を行うなら、1番負荷の軽いチューブ(柔らかいタイプ)をして無理の無い範囲で行ってください。

  • 高所より転落をして腰椎圧迫骨折L2、受傷後14週になります。痛みはだいぶ良くなりましたが、日常の動作で腰回りの違和感がまだあります。動きが固い、可動域が少ないのが気になるのですが腰を捻る前屈のストレッチ等をするのは問題ないでしょうか?大きい動きをすると痛みが出ることがまだあります。

    • トロさま

      ご質問ありがとうございます。

      受傷後約3ヶ月が経過したということですね。

      腰部を動かしていいかどうかは、医師の診察で指示を頂く必要があります。

      医師からOKがでれば、徐々に可動域を出していってもよいかもしれませんね。

      ただし、そもそも腰部は捻る動作は構造的に苦手な部位ですので「腰を捻る」動きは積極的に行わなくてもよいと思います。

      捻る動きはその上下の股関節と胸椎がメインです。

      また、前屈動作においても腰ではなくまずは股関節を曲げる練習をすることから始めることをお勧めします。

  • 67歳女性です。この6年で腰椎3か所 胸椎5か所圧迫骨折繰り返しています。4年前よりビビアントと乳石錠服用し 少しずつ骨密度も上がりながらも 繰り返しました。この2月の腰椎でかなり前かがみになり 今は骨折の痛みはないですが 胃を圧迫され 前の部分が苦しいです。朝起きた時はましですが だんだんつらくなり リハビリ方法ありますか?

    • 田村様

      コメントありがとうございます。

      圧迫骨折でだんだんと前かがみにの姿勢になってしまうと、お腹も圧迫されて呼吸も苦しくなってしまうこともあり辛いですよね。

      シンプルに考えると、前かがみの反対方向。つまり後ろ側(背中側)の筋力を鍛えることが前かがみ姿勢になることに対する予防になると考えられます。

      背筋の力をつける運動をするとよいかと思います。

      ただし、背骨への負担を考えると背骨はあまり動かさないようにして行うほうが安全です。

      この方法については以下の記事でも説明をしていますので、参考にしてみてください。

      【チューブを使用した体幹トレーニング方法】脊柱圧迫骨折後のリハビリを例にわかりやすく説明
      http://www.pt-pilates.info/?p=3234

  • 52歳女性です 5日前に 背骨の圧迫骨折をしてしまいました 階段から滑り落ちました 打撲だとおもい2日は仕事して3日目休みに整形外科でレントゲンで 圧迫骨折だとわかり 先生は家で安静に 二週間後に コルセットが出来上がるのでその時来てくださいとの事で 詳しい話もなく どれくらい安静にしとけばいいのか見当もつがず 自営業なので 早く仕事したいのですが 今は 家で寝てます コルセット早く欲しいというと 今週中に家へ送ってくれるとの事で コルセットをすると 少しは立って動いてもいいでしょうか?それから ベットへ寝てると 背中と腰が痛いのですが ソファだと痛くないのでソファで寝ていたいのですが ダメですか?ソファはそんなに やわらくないです が 快適です でも ベッドの方がいいですか?

    • 匿名様

      コメントありがとうございます。

      コルセット完成までに二週間とはちょっと長いですね。
      その間とりあえず市販のコルセットで腰を保護しても良いかもしれません。

      医師から処方されたコルセットを装着すれば基本的には立ったり歩いたりすることは問題ないと思います。

      確かに、コルセットなしでの状態での安静度が曖昧ですね。
      具体的な指示は医師に質問したほうがいいかもしれませんね。

      ベッドでなけばいけない理由は特にないかと思います。
      ただしソファが柔らかい場合に身体が沈み込むことで腰が丸まるような姿勢になるのであれば長時間は避けたほうがいいかもしれませんね。

  • 腰椎圧迫骨折をし、既に4ヶ月となります。現在は週2回のリハビリ(電気治療)しています。両腿の痛みを強く訴えています。歩行はまったくできず、座る事も出来ません。今後は、どの様なリハビリ、治療が必要でしょうか。男性86歳です。

    • カトウ様

      コメントありがとうございます。

      座るのもできないのはつらいですね。
      両脚の痛みは圧迫骨折に出現したのでしょうか。

      痛みが強くて動けない状態が続いてしまうと、さらに全身的に体力が低下していってしまいます。
      軽い運動だけでもベッド上で行って頂くとよいかと思います。

      この記事で紹介している呼吸訓練以外に、足首の上げ下げや脚の屈伸運動などです。
      ※運動時はベッド上でもコルセットを装着した状態で。

      また、痛み止めなどが処方されている場合には運動前に飲んでから運動をするようにしてもよいかもしれません。

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