がん(癌)のリハビリテーションの目的・エビデンスとヨガの関係について

がんのリハビリテーション

がんという病気は昔は不治の病というような扱いをされていましたが、最近では医療技術の進歩もありがんは治療成績も向上しています。

がん罹患患者が増えているなかで、がん生存者も増えています。

「がん=死」ではありません。

がんになっても仕事したり、普段の生活を継続してゆくことが可能な場合もあります。

「がんと共存する時代」であると言われています。

がんサバイバーという言葉もよく聞くようになりましたよね。

 

がんサバイバーとは?

がんサバイバーとは、がんの診断を受けてから、その後を生きていく人々のことを指す。

多くのがんサバイバーは、治療を終えた後でも様々な課題を抱えて生活していくことになる。
ここでいう課題とは、長期的合併症や再発への恐怖、周囲との人間関係、ライフスタイル、恋愛・結婚、性生活、出産・育児、介護、就学・就労の問題、経済的問題、がんへの偏見、
がんリハビリテーション
生きる意味を含めた実存的問題などが主にある。

引用:Wikipedia

がんのリハビリテーションはこのような背景から、最近は日本でも必要性が周知されてきています。

医療保険においても「がんリハビリテーション料」が算定できるようになってきています。
参考:http://www.pt-ot-st.net/contents2/cat_medical_treatment26/14

 

 

がんのリハビリテーションの病期別分類*Dietz分類

がんのリハビリテーションは病期に応じて、少しずつ目的などが変わります。

特に終末期の関わり方はADLではなくQOLに重きが置かれます。

①予防的(Preventive)
がんの診断後の早期(手術、放射線、化学療法の前から)に開始
障害はまだないが、その予防を目的とする。

②回復期(Restorative)
がんによる障害を持つ患者に対して機能回復を図る

③維持的(Supportive)
腫瘍が増大し、機能障害が進行しつつある患者の能力を維持、改善する

④緩和的(Palliative)
終末期がん患者の対してQOLの高い生活が送れるように援助する。

 

がんリハビリテーションのエビデンス

がんに対するリハビリテーションのエビデンスも構築されてきています。

ガイドラインが出されていますので参考にするとよいです。

ガイドラインから一部例を引用します。

化学療法・放射線療法中もしくは治療後の患者に対して運動療法を行うと,行わない場合に比べて
身体活動性や身体機能 (筋力,運動耐容能など)を改善することができるか?

【推奨グレードA】
化学療法・放射線療法中・治療後の乳がん,前立腺がん,血液腫瘍患者に運動療法は安 全に実施でき,エルゴメーターやトレッドミルを用いた有酸素運動,ストレッチングや 筋力トレーニング,また,それらを組み合わせた運動療法を実施することは,運動耐容 能や筋力などの身体機能の改善がみられるため,行うよう強く勧められる。

引用:がんリハビリテーションガイドライン

 

乳がん術後の化学療法・放射線療法中もしくは治療後の患者 に対して運動療法を行うと,行わない場合に比べて,抑うつ・ 不安などの精神心理面を改善させるか?

【推奨グレードA】
有酸素運動や抵抗運動,それらを組み合わせた運動療法を行うことは,抑うつや不安 感,感情や気分,睡眠障害を改善させるため,行うよう強く勧められる。

引用:がんリハビリテーションガイドライン

乳がんのリハビリテーションとしてのヨガ

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ヨガ

上記のガイドラインのようにがんリハビリテーションの効果には様々ものがあります。

運動療法が体力アップや全身倦怠感の改善にかぎらず、精神的な面でもよい効果があるとされています。

もちろん乳がんの術後のリハビリテーションとしてヨガも有効であると言われています。

ヨガの動きによって術後の影響による肩関節周囲の可動域制限や疼痛・リンパ浮腫にも効果も考えられます。

それよりも、ヨガの魅力は精神面へのアプローチであると思います。

ヨガによって運動面だけではなく精神面を改善しQOLを高めるという効果が期待できます。

医師の新倉先生という方が日本では積極的にヨガを乳がんに対するケアとして応用されることを、発信されているようです。
参考HP:乳がん✖️ヨガ

乳がんの治療の第一選択は西洋医療です。
しかし西洋医学は乳がんを根治させるために、検査、手術、副作用の強い化学療法を用います。20年前に比べ使う薬の種類も量も増え、患者さんは強いストレスにさらされています。
それをヨガによって緩和し、精神安定剤、睡眠薬の使用を減らせるかもしれません。治療に前向きになることで、化学療法やホルモン治療の中断を少なくし、もしかしたらそれによって生存期間の延長という結果が出る可能性もあるかもしれません。

引用:ヨガ・ジェネレーション

 

 

がんのリハビリテーションを行う上での注意点

がん患者さんのリハビリテーションを行う上で注意すべき点があります。

リハビリテーションは手術前後・化学療法や放射線治療の実施期間中などあらゆる時期においても有効であると言われています。

しかし、治療による副作用が出ている場合には注意をする必要があります。

リハビリを実施することのメリットとそれによって引き起こされる可能性のあるデメリットをしっかりと理解して天秤にかけることが非常に重要です。

 

注意すべき副作用の例

・好中球が減少することで免疫機能が低下し、感染リスクが高まる。

・血小板が低下して出血リスクが高まる。

・ヘモグロビンが低下して全身の倦怠感や酸素供給不足となる。

・心疾患の合併(特に化学療法による)

 

骨転移に注意!

運動をする上で、がんの骨への転移の有無に注意ことが大切です。

これは骨転移と言われるもので、骨転移を起していると骨がもろくなっている状態であることが多いので、運動負荷によって骨折を容易にしてしまうことがあるためです。

特に乳がんや肺がんは原発巣として骨転移を起こしやすいと言われています。

乳がんに対するヨガの効果も期待できますが、骨折をしてしまっては意味がありません。

まずはしっかりとリスク管理をした上で実施することが最重要となります。

 

骨転移に関する記事はこちら

骨転移に関する基礎知識まとめ【がんのリハビリテーション】

2016.09.22

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