褥瘡予防に対するポジショニングの基本 -褥瘡発生のメカニズムから考えよう-

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なぜ褥瘡予防にはポジショニングが大切なの?

褥瘡を予防するにはポジショニングがとても大切。

わかってはいるけど、なかなか現場ではうまくいかないポジショニング。

ポジショニングをする上で、なぜポジショニングが大切なのか?を理解しておくとよいです。

褥瘡発生の要因としては、外的要因と内的要因があります。

・外的要因:皮膚などの軟部組織にかかる圧・ズレ など
・内的要因:栄養状態・循環動態・疾患による影響 など

これらの要因の中で、褥瘡の進行における要因の重要性が高いのが外的要因であると言われています。

つまり、褥瘡を予防するためには外的要因に対してアプローチをすることが非常に大切なわけです。

外的要因へアプローチ方法がポジショニングです。

 

 

褥瘡とは?褥瘡発生のメカニズムは?

褥瘡(じょくそう)とは?

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褥瘡の重症度ステージ4段階  版権: / 123RF 写真素材

身体に加わった外力は骨と皮膚表層の間の軟部組織の血流を低下、あるいは停止させる。

 この状況が一定時間持続されると組織は不可逆的な阻血性障害に陥り褥瘡となる。

日本褥瘡学会,2005

 

 

褥瘡発生のメカニズム:外力がポイント

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画像引用:Minds ガイドラインライブラリ http://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0036/G0000181/0037

褥瘡発生のメカニズムを上図で示しています。

この図からわかるように、褥瘡発生は軟部組織にかかる外力(圧力・ズレ力)がきっかけなのです。

外力とは身体に外から加わる力のことです。

外力はストレスの方向によって「圧力」「ズレ力」の要素に分けられます。

また、褥瘡の発生メカニズムを考える上で「応力」という言葉をよく聞くかと思いますが、この応力というのは、「外力に対して皮膚組織内に発生する力」のことです。

つまり、外力を減らして結果的に応力を軽減させることが褥瘡予防におけるポイントとなります。

 

 

褥瘡発生のメカニズム:応力✖︎時間✖︎回数

褥瘡発生の主要因は外力(圧力・ずれ力)でした。

この外力のストレスは皮膚などの軟部組織に瞬間的にかかるよりも、持続的に繰り返してかかることによって褥瘡発生のリスクが高まります。

よって、褥瘡予防を考える際には「応力(外力)✖︎時間✖︎回数」をいかに減らすか?という点を考えるようにしましょう。

 

この視点から考えると、なぜ2時間ごとの体位交換の必要か?ということもわかりますね!

体位交換をすることは「応力✖︎時間✖︎回数」の時間の部分を減らすことにつながります。

 

【注意!意外な落とし穴】

体位交換は応力の持続時間を軽減することに対して有効な手段です。

しかし、体位交換をすることによってずれ力が生じる可能性があります。

特にベッドからずり落ちた姿勢になっている患者さんを上に移動させたりする場合には、仙骨部に強いずれ力が加わることがあります。

医療者が良かれと思って行った体位交換が実は「ずれ力」を加えてしまい、褥瘡発生リスクを高めている場合があるので注意をしましょう!

 

 

褥瘡予防に対するポジショニングの基本

褥瘡予防に対するポジショニングの基本的な考え方をまとめます。

理想をいえば、患者さん個別にアセスメントをして褥瘡以外の視点(呼吸・循環、疼痛、精神面)などを踏まえて総合的にポジショニングをする必要があります。

しかし、忙しい現場で誰でも一定の質を提供ができるようにするためには、まずはできるだけポイントはシンプルにすることが大切だと思います。

上述してきた褥瘡発生のメカニズムから考えてゆきましょう。

ポジショニングの目的は褥瘡発生の主要因である、外力(圧力・ずれ力)を軽減することです。

①圧力を減らすには?:除圧(圧の再分配をする)

②ずれ力を減らすには?:身体部位のねじれをなくす・ギャッジアップに注意・背抜きをする

とてもシンプルですよね。

では、この2つのポイントをもう少し詳しく説明をしてゆくことにします。

看護・リハビリにおけるポジショニングのチェックポイント -褥瘡予防と呼吸/循環の関係から考えよう-

2017.07.24

 

 

①圧力を減らすために除圧(圧の再分配)をしよう

「除圧=局所を浮かせること」ではない!

「褥瘡が出来やすい部分だから、仙骨部の除圧をしましょう!踵の除圧をしましょう!」

こんな会話は現場でよくあるかと思います。

では、そもそも除圧ってなんでしょうか?

「除圧=局所を浮かせること」ではありません。

この点を勘違いしてしまうと、適切に圧力を減らすことができなくなります。

局所を浮かせることは、その特定部位には一時的に圧力は軽減されるかもしれませんが結果として周囲の部位への圧が高まってしまうからです。

かつ、その周囲の組織へのずれ力も加えてしまうことになります。

【CQ 5.7】円座を用いることは有効か?

【推奨文】円座は用いないように勧められる。

【推奨度】D

 *褥瘡予防・管理ガイドライン

現在、円座の使用は褥瘡に対するポジショニングとしてはガイドライン上でも推奨されていません。

この理由も同様で、円座を使用することで浮いていう部分の周辺組織へのストレスが逆に高まってしまうからです。

 

 

 

「除圧=圧の再分配」である

大切なのは圧の再分配をするということです。

なんだか「圧の再分配」っていう言葉が難しく聞こえてしまいますよね。

圧の再分配というのは要するに、「圧が局所に集中しないように全体で支えましょう!」という考え方です。

どこかを浮かせればどこかにストレスが加わってしまうので、全体的にそのストレスを分散するようにポジショニングをすることを意識しましょう。

そのためには、「点ではなく面で支える」ということがポイントです。

 

 

「点ではなく面で」支えよう

圧の再分配を適切に行うために、ポジショニングは点ではなく面で支えることが大切。

よく現場でみかけるのが、踵を浮かせようと考えて下腿にクッションを入れているのですが大腿部の下は空間ができているという状態です。

これは何が問題でしょうか?

踵に対する除圧はできていても、大腿部が浮いていることで逆に仙骨部への圧が高まっている状態になってしまいます。

下腿の下だけにクッションをいれる(点として支える)と圧の再分配がうまくできません。

この場合には大腿部にもクッションを入れて下肢全体を支える(面として支える)ようにしたほうが、圧の再分配が行いやすくなります。

 

「点ではなく面」で支えることで、圧の再分配以外にも患者さんの安心や安楽につながってゆくというメリットもあります。

下肢の下に空間があると身体は不安定で、関節にも負担がかかってしまうので患者さんとしては楽な姿勢ではありません。

姿勢が楽じゃないと精神的にも不安になり、筋緊張を高めてしまう可能性があります。

筋緊張が高まると拘縮発生のリスクやズレを助長してしまうので注意が必要です。

 

 

【補足】褥瘡予防のポジショニングは30度側臥位が基本?

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30度側臥位  123RF 写真素材

褥瘡予防に対するポジショニングの代表的な姿勢が30度側臥位です。

褥瘡の代表的な好発部位には仙骨・踵・腸骨・大転子部です。(特に仙骨・踵の発生率が病院では多いとされています。)

骨が突出した部位に褥瘡は発生しやすいです。

そのため、骨突出部位に圧が集中しないようにポジショニングをすることが基本となるわけですね。

30度側臥位は大殿筋などの筋肉が支持面となって支えてくれるので、仙骨や腸骨部への圧の集中を防ぐことができると考えられています。

【CQ 9.3】ベッド上の体位変換では,どのようなポ ジショニングが褥瘡予防に有効か

【推奨文】30 度側臥位,90 度側臥位ともに行っても よい。

【推奨度】C1

 *褥瘡予防・管理ガイドライン

しかし、褥瘡予防・管理ガイドラインに示されているように30度側臥位・90度側臥位ともに推奨度はC1となっており必ずしも効果的なわけではないとされています。

特に、日本人の場合には褥瘡発生をしやすい方は痩せ身で筋肉も落ちてしまっている人が多いので、30度側臥位にしても筋肉が支持面としての役割を果たすことができないためです。

30度側臥位は褥瘡予防に対するポジショニングとしては基本ですが、当てはまらない場合も少なくありません。

よって、30度側臥位にこだわる必要はなく患者さんの体型や好みに応じて側臥位を選択してゆく必要があります。

 

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