頭頸部・頚椎の特徴と可動域【まとめ】

頚椎(けいつい)の位置

脊柱の全体像

脊柱の全体像

脊柱は頚椎・胸椎・腰椎にわかれています。

頚椎は7個・胸椎は12個・腰椎は5個で構成されています。

また、脊柱には生理的なS字カーブがあり頚椎は前弯(30°〜35°)をしています。

【注意】
骨模型を使用した可動域の解説に使用している図は、あくまでイメージ図としてご参照ください。
実際の正確な脊柱の動きや角度は再現ができていませんことをご了承ください。

 

 

頭頸部の構成と特徴

頚椎は頭部と関節を持っていることが特徴です。

頚椎は頭部(頭蓋骨)の直下に位置し、頭部を支えています。

そのため、可動域を考えたときには頚椎のみの可動域ではなく、頭蓋骨との関節も含めた可動域を捉える必要があります。

 

【頭頸部の関節を構成するもの】
・環椎後頭関節(頭部〜C1)
・環軸関節(C1~C2)
・頸部椎間関節(C2~C7)

【補足】
 第1頚椎(C1):環椎
     第2頚椎(C2):軸椎
環椎・軸椎体と関節

環椎・軸椎と関節

  

【頭頸部の特徴】
頭頸部は全脊柱の中で最も可動性の大きい部位です。

また、頭頸部の高度に分化した関節は、頭部(視覚・聴覚・嗅覚および平衡感覚)の位置制御に寄与しています。

頭頸部の屈曲と伸展運動

頭頸部の屈曲および伸展可動域は大きく、合わせて約130〜135°。

生理的な前弯があるので、中間位(ニュートラルな状態)では頭頸部は約30~35°伸展位をとっています。

この中間位から伸展は85°・屈曲は45°〜50°とされています。

一般に、屈曲と伸展の運動は頭側から尾側方向へと順番に生じます。
この運動パターンの現れ方に異常が生じた場合。脊椎間の不安定性が示唆されます。

 

頭頸部の屈曲可動域

頭頸部の屈曲可動域:45〜50°

【内訳】
・環椎後頭関節(頭部〜C1)と環軸関節(C1~C2):約15°
・頸部椎間関節(C2~C7):約35°

頭頸部の屈曲可動域

頭頸部の屈曲可動域

 

頭頸部の伸展可動域

頭頸部の伸展可動域:85°

【内訳】
・環椎後頭関節(頭部〜C1)と環軸関節(C1~C2):約15°
・頸部椎間関節(C2~C7):約70°

頭頸部の伸展可動域

頭頸部の伸展可動域

 

 

脊柱管と頚椎の屈伸との関係

脊柱には脳神経系で重要な脊柱管を保護するという大切な役割があります。

頸部脊柱管の容積は、最大屈曲位で最大となり最大伸展位で最小となります。

このため、脊柱狭窄症患者などでは伸展を伴う動作では痛みや神経症状が生じやすくなり、しいては脊髄損傷までも引き起こす可能性があります。

 

 

頭頸部の側屈可動域

頭頸部では左右それぞれに約40°の側屈が可能。

一側の耳を同側の肩にできるだけ近づけた状態が最大側屈位となります。
この運動のほとんどがC2〜C7の領域で行われる。

頭頸部の側屈可動域:左右40°ずつ
【内訳】
・環椎後頭関節(頭部〜C1)と環軸関節(C1~C2):約5°
・頸部椎間関節(C2~C7):約35°

頭頸部の側屈可動域

頭頸部の側屈可動域

 

 

頭頸部の回旋可動域

頭頸部の軸回旋は、視覚と聴覚と密接に関係する非常に重要な機能です。

頭頸部は左右にそれぞれ90°ずつ、合計180°の回旋可動域を有しています。

両眼で合計150〜160°の眼球水平運動が可能ですので、頭頸部の動きを加えれば視野は360°近くとなります。
よって、体幹部の動きはほとんどなくても後方まで視野が獲得できるということになります。

頭頸部の体軸回旋可動域の約半分は環軸関節で、それ以外はC2〜C7で行われています。

頭頸部の回旋可動域:左右90°ずつ
【内訳】
・環椎後頭関節(頭部〜C1)と環軸関節(C1~C2):約40〜45°
・頸部椎間関節(C2~C7):約45°

頭頸部の回旋可動域

頭頸部の回旋可動域

 

頭頸部の可動域まとめ

・屈曲可動域:45〜50°

伸展可動域:85°

・側屈可動域:左右40°ずつ

回旋可動域:左右90°ずつ

 

胸椎〜腰椎の可動域を知りたい方へ

脊柱の可動域まとめ|胸椎と腰椎の関係性を中心に説明。

2015.09.27

 

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