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腰に負担かけたくないけど、腹筋(体幹)は鍛えるべき?
腰椎椎間板ヘルニアや腰椎圧迫骨折を発症して間もない場合(急性期)、腹筋(体幹)の筋力トレーニングは避けるべきでしょうか?するべきでしょうか?
急性期はコルセットをして患部にストレスがかからないように安静にしておくことも大切な時期ですが、ただ安静にしていると筋力は弱っていってしまい悪循環に陥ることがあります。
腰部疾患において再発予防は重要な視点であり、再発予防に対してのリハビリテーションは手術の有無にかかわらず必須であると考えています。
再発予防のためのリハビリテーションとしては運動療法がポイント。
いかに自宅でも継続して運動をして筋力をバランスよく付けてゆくかが大切です。
しかしながら、知識のないまま無理に筋力トレーニングをしようとした場合、腰に負担をかけてしまい、よかれと思ってやったことが結果的に悪くしてしまう可能性もあります。
どのような動きが良くないのか。
そしてその注意点を踏まえてどのようにトレーニングをすればよいのか。
一人でも行える簡単なトレーニング方法を紹介します。
椎間板ヘルニア・圧迫骨折で注意をすべき動きは?
腰部疾患は病態によって注意をすべき運動方向が違います。
腰椎椎間板ヘルニアや腰椎圧迫骨折は基本的に腰を丸めたり(屈曲)・捻ったりする動き(回旋)は腰椎や椎間板にストレスがかかるため避けるべき動きです。
一方で、椎間関節性腰痛や脊柱管狭窄症などは腰を反る動き(伸展)が避けるべき動きとなります。
以下の紹介するエクササイズは腰を丸める動きを避けて腹筋(体幹)をトレーニングするという視点を重視しています。
【動画】腰に負担のかけにくい腹筋(体幹)のトレーニング方法
このエクササイズのポイントは?
動画を見ていただくとわかるように、動き自体はとてもシンプルですね。
仰向けに寝た状態から開始し、頭を少し持ち上げてキープする。
ただそれだけの運動です。
いわゆる「頭上げ腹筋運動」。
しかし、腰への負担がかかりにくい状態でトレーニングを行うためにはいくつかのポイントを注意しながら行うことが大切です。
【基本的な方法】
①仰向けに寝て、膝を曲げる
②顎を軽く引く
③頭をゆっくりと持ち上げてゆく
④肩甲骨が床から離れる程度でストップ
⑤余裕があれば上げた状態でキープ
⑥ゆっくりと頭を下ろしてゆく。
【注意点・ポイント】
・腰を丸めすぎない
・顎を軽く引く
・呼吸を止めない
今回、特に重要なのが腰を丸めないようにするという点です。
腹筋を鍛える!と考えるとどうしても腰を丸めたくなりますが、腰は丸めなくても十分腹筋をトレーニングすることは可能です。
腹筋の働きを確認しよう
エクササイズの効果を高めるには、実際にその動きがどの筋肉を使っているのか?ということを理解をしておくとよいです。
腹筋の働きについて確認をしておきましょう。
・腹直筋
・外腹斜筋
・内腹斜筋
・腹横筋
腹直筋や腹斜筋は主に腰を丸めたり、捻ったりする動作の際に働きます。
*腰を丸める動きは「骨盤の後傾」ともいいます。
また、腹横筋といわれるお腹の一番奥に位置する筋肉はインナーマッスルとして非常に重要。
「体幹トレーニングといえば腹横筋!」という人もいるくらいです。
腹横筋は腰を動かす筋肉というよりは、腰が過剰に動かないように安定させるために働くコルセットのような役割を果たしています。
腹横筋が先行的に活動することで腰を安定させて守りつつ、必要に応じて腹直筋や腹斜筋を働かせてバランスをとっています。
特に鍛えたいのは腹横筋と腹斜筋
上記のように腹筋は4つの筋肉の総称です。
今回紹介したエクササイズにおいて鍛えたいのが、腹横筋と腹斜筋です。
「腰に負担をかけない」という視点においては、腰を丸める動きを引き出したいのではなく腰部を安定させる筋肉を鍛えたいからです。
寝た状態で少し頭を持ち上げるだけでも、お腹の筋肉を使っている感じがすると思います。
この時にも腹横筋や腹斜筋は働いています。
腹直筋というのはアウターマッスルとして、大きく素早い動きが得意な筋肉です。
腹横筋や腹斜筋が十分に働いていない状態で腹直筋が優位に働くと腰椎を丸める方向へのストレスがかかりやすくなってしまうため、今回のエクササイズではあまり働きすぎないように注意をします。
よくない例①腰を丸めすぎている
腰を少し丸めすぎてしまっています。
ポイントは腰を丸めないようにすること。
骨盤を安定させた状態で頭を持ち上げて腹筋の活動を引き出すことです。
これは言葉でいうことは簡単なのですが、やってみると意外と難しいのです。
コルセットがある部分は動かしにくいと思いますので、そこは動かさずに腰よりも上の部分で体を曲げて起こしてゆくという練習になります。
腰を丸めないのって意外と難しい
骨盤の位置を安定させるというのは骨盤を中間位で保つという表現に言い換えることができます。
ちょっとややこしいですが、骨盤中間位を保つということ自体が体幹のインナーマッスルをバランスよく働かせることになります。
つまり、頭を持ち上げても腰が丸まらずに骨盤の中間位を保つということ自体が体幹のトレーニングになるわけです。
よくない例②あごが上がっている
頭を持ち上げた際にあごが上がってしまっています。
あごが上がってしまっていると、鍛えたい腹部のインナーマッスルが働きにくくなりアウターマッスルである腹直筋などが優位になりやすくなってしまいます。
まずは仰向けの姿勢であごを軽く引いた状態から開始し、頭を持ち上げるときにはその状態を崩さないように注意をしましょう。
首周りの筋肉が弱くなってしまっているためです。
そんな場合にはまずは、あご引きの練習をしてみましょう!
【関連記事】あご引きエクササイズを下記記事で詳しく説明しています。
余裕がある人はトライしてみよう
余裕があれば、頭を持ち上げた状態で少しキープしてみましょう。
10秒間ほどその状態をキープします。
その間に呼吸は止めないようにしましょう。
呼吸をしようとすると頭が下がってきたり、あごが上がってきたりする場合にはまだ十分に体幹のインナーマッスルがバランスよく働いていません。
呼吸をしてもブレずに同じ姿勢を保てるようになることが理想です。
【補足】身体に負担をかけずにインナーマッスルを鍛えよう!
今回紹介したように、身体に負担をかけないようにして安全にインナーマッスルを鍛えることができれば、その運動自体が治療にもなるし今後の再発予防にもつながります。
そのためには「ピラティス」というエクササイズがおすすめです。
ピラティスはリハビリテーションが起源のエクササイズです。
ピラティスには人間の本来の構造に基づいており、シンプルでかつ本質的な運動方法が詰まっています。
*関連記事:ピラティスとは何か?についてはこちらで紹介しています。
記事読みました。ヘルニアのリハビリに為になります。同じように腹筋をしているのですが、みぞおちの辺りは固くなってきますが、下腹はコルセットせいもあり筋肉が落ちてきます。
腰に負担なく下バラを鍛えることはできないでしょうか?
コメントありがとうございます。
確かにお腹の下側の筋肉が働きにくい場合があります。
そのような場合は、呼吸法の練習をまず行ってお腹の下側を意識的にトレーニングするとよいかと思います。鍛えたいのは腹横筋という筋肉です。
http://www.pt-pilates.info/?p=4078
また、足の上げ下げの運動をすることでも下腹は鍛えられます。このときは腸腰筋です。
http://www.pt-pilates.info/?p=4148
これらの運動を軽く行ったあとにもう一度頭上げ腹筋をやってみてください。
多少筋肉の使い方が変わると思います。
ありがとうございます。
がんばってみます。
コルセットとれるときにあまり筋肉落としたくないでものね。