首こり解消・姿勢改善に効果的!「あご引き」エクササイズ

顎(あご)が上がった状態は典型的な不良姿勢

猫背の人に多いですが、顎が上がってしまっている姿勢をよくみかけます。

この姿勢は専門的には「頭部前方移動姿勢」「ヘッドフォアードポスチャー(FHP)」などと呼んだりします。

*デスクワーカーを例に出してみましょう。
パソコンの画面を猫背姿勢で必死に覗き込んでいると気づいたらあごが上がった不良姿勢となっています。
そして、1日に何時間もずっと作業をしていたら、このあご上がり姿勢で体が固まってしまうことは容易に想像がつくと思います。

良い姿勢と不良姿勢

良い姿勢と不良姿勢 版権: / 123RF 写真素材

不良姿勢というのは見た目の問題だけではなく、様々な身体的なトラブルを引き起こす原因にもなります。

慢性的な頭痛や首〜肩こりがある人の原因が実はあご上がり姿勢であったという場合も少なくありません。

また、高齢者の場合ではあごが上がった状態では嚥下機能(物を飲み込む動作)に影響を与えます。
嚥下機能が低下すると、飲み込んだ物が間違って食道ではなく肺の方へ入ってしまう誤嚥性肺炎という命に関わる病態の原因にもなるのです。

では、この「あご上がり姿勢」を改善するにはどうすればいいのでしょうか?

寝た状態で簡単にできる「あご引きエクササイズ」を動画を用いながら説明をしてゆきます。

 

「あご引きエクササイズ」の動画はこちら

まずはこの動画をご覧ください。

 

このエクササイズのポイントは?

タイトルの通りで、動きとしては「あごを引く」ということが主な目的です。

ただし、単純にあごを引くだけでは効果的な方法とはいえません。

いくつかポイントがありますのでまずはそれをまとめます。

基本的なエクササイズ方法

基本的なエクササイズ方法

【基本的な方法】
①仰向けに膝を立てて寝る
②目線を膝の方へ向ける
③あごを「軽く」引く(息を吐きながら)
④ゆっくりともとに戻す

【ポイント】
・あごの動きの前に目線を動かす
・「軽く」引く。力みすぎはNG。
・首の上【頭の付け根】の関節を曲げる(上位頚椎を屈曲させる)
・首の後ろの筋肉が伸びてゆくことを感じる・イメージする

 

あごが上がってしまう原因と解決策

エクササイズを効果的に行うために、あご上がりの原因について簡単に理解をしておきましょう。

不良姿勢で固まってしまうのはなぜ?

デスクワークなどを長時間していると気づいたら猫背であごが上がった姿勢で固まってしまうということを上述しました。

ある一定の姿勢で固まってしまうということは、ある一定の筋肉が固まってしまっているという状態と言い換えることができます。

さらに、一定の筋肉が硬く・その反対の作用の筋肉の働きが弱くなっていることが多く、このような筋肉のバランスの悪さが不良姿勢を助長してゆきます。

 

あご上がり姿勢の原因となる筋肉

【硬くなっていることが問題の筋肉】
硬くなっているのは頭の付け根の部分(上位頚椎と頭蓋骨を結ぶ)にある後頭下筋群という筋肉です。
この筋肉が硬くなることで、「あごが上がる」姿勢で固まってしまいます。

一般の方にはあまり聞いたことのない筋肉かもしれませんが、実はこの筋肉の硬さが様々なトラブルの原因になるといわれています。

後頭下筋群の周囲には頭につながる重要な神経や血管が豊富に走行していますので、この部分が緊張して硬くなってしまうと頭痛やめまいなどの原因にもなります。

さらに、うつなどの精神症状の原因の一つとも考えられています。

【弱くなっていることが原因の筋肉】
後頭下筋群は首の後面にあるのに対して、首の前面にある筋肉の弱さが原因です。

それは頭長筋・頸長筋という筋肉。
うなづく時に必要な首のインナーマッスルです。

あごが上がってしまっている姿勢の人の多くは首の前面のインナーマッスルが弱くなっており、アウターマッスルが優位に働かせてしまっている傾向にあります。

これを繰り返していると、首の関節にも負担がかかってきて将来的に頚部の椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症の原因にもなります。

原因の筋肉と対策

原因の筋肉と対策  版権: / 123RF 写真素材


ストレッチ&筋トレをセットで

あご上がり姿勢は、首の後面の筋肉が硬くて前面の筋肉が弱い状態です。

これを改善させるには、伸ばすだけ・鍛えるだけでは不十分です。

単にストレッチをするだけでは、一時的に緩ませることができて楽になるかもしれませんがしばらくするともとに戻ってしまいます。

弱いことが原因な筋肉をトレーニングしなければ、前後の筋肉のバランスが修正できてないので元に戻ってしまうのです。

姿勢を修正するためには「ストレッチ&筋トレをセットで行うこと」が基本的な考え方です。

 

 

目線から動かしてゆくことがポイント

単純なようで奥が深いこのエクササイズ。

重要なのが「目線の使い方」です。

動画をよく見てみるとまずは目線を下にさげてからあご引き動作をしているのがわかると思います。

動かしたい部位が頭の付け根の部分
いきなりこの部分を動かそうと思っても普段意識していないので難しいです。
無理に行おうとするとアウターマッスルばかり使ってしまい効果的ではありません。

目線を上から下に先に動かすことで、頭・首の動きが後追いでついてくるというイメージで行ってみましょう。

最初は仰向けの姿勢で眼球だけを上下に動かすだけでも十分なエクササイズとなります。

この時も「頑張って」眼球を上下しないように、リラックスした状態で行いましょう。

補足
後頭下筋群は眼球運動との関係性が高いので、眼球を動かすだけでも後頭下筋群を緩めることにつながります。

 

あごを引いたら首の後ろがスーッと伸びる・止める

あごを引いたら首の後ろがスーッと伸びてゆくことを感じてみましょう。

床と首の距離が近づいてゆくようなイメージでもよいです。

硬くなっている頭の付け根にある後頭下筋群がストレッチされてゆきます。

さらに、余裕があれば15秒間ほど持続的にあご引きの姿勢を保持してみましょう。

姿勢を保持することは前面にある頭長筋・頸長筋を働かせることになります。
インナーマッスルは瞬間的な動きよりも姿勢を保持する持続的な働きがとても大切だからです。

余裕があれば、頭も持ち上げてみよう

レベルアップ・頭を持ち上げる

【レベルアップ】頭を持ち上げる

あご引き動作が上手に行えるようになってきたら、今度は難易度アップにトライしてみましょう。

あごを「軽く」引いた状態を保ったまま頭を床から離してゆきます。

肩甲骨が少し浮くぐらいまでで十分です。

頭を持ち上げてゆくことで、首の後面のストレッチができ・かつ前面の筋肉への筋トレの負荷を高めることができます。

【頭を持ち上げる時の注意点】
・あごがあがらないように
・あごを引きすぎないように

ポイント
あごは上がっていても、引きすぎもよくありません。
その中間地点で保持することが首の前後のバランスを整えるエクササイズとして効果的です。
なので意識したいのはあごを「軽く」引くということです!
良い例・良くない例

良い例・良くない例

 

 

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