目次
ピラティス呼吸(胸式呼吸)の基本と応用
まずはこちらの動画をご覧ください。
ピラティスとは?ピラティス呼吸とは?
ピラティスというのは、リハビリテーションを起源とした運動療法の1つです。
特徴としては身体と心のセルフコントロールを重要視しています。
その中でも呼吸を非常に重要視しています。
ヨガでも呼吸は重要で練習をすることがあると思いますが、ピラティスとヨガの呼吸方法は少し異なります。
ざっくり分けると、ピラティスは胸式呼吸でヨガは腹式呼吸という違いです。
これらは字のごとく、腹式呼吸は「お腹の部分を主に使った呼吸」で胸式呼吸は「胸の部分を主に使った呼吸方法」となります。
ピラティス(胸式呼吸)の基本的な方法
【基本的な方法】
①鼻から息を吸う
②下部胸郭が外側に広がる
③口から息を吐く
④下部胸郭が狭まる。お腹が少し凹む。
【ポイント】
・呼吸中はずっとお腹を膨らませない
・胸郭の下側(下部胸郭)の動きを特に意識する
・胸郭を左右だけはなく、前後にも広げてゆくような3D呼吸
・肩・首の筋肉はリラックス
あえてお腹を膨らませないのはなぜか?
ピラティス呼吸で特徴的なのが呼吸の際のあえて「お腹を膨らませない」という点です。
意識的に膨らまないようにコントロールするのです。
通常、鼻から息を吸って深呼吸をしようとしてみるとお腹が膨らんでくると思います。
息を吸った際にお腹を膨らませるのは、腹式呼吸という方法です。
↓腹式呼吸に関してはこちらの記事で詳しく説明をしています。↓
では、息を吸ったのにお腹を膨らませないようにするにはどうしたらいいのでしょうか?
横隔膜が収縮して下行してきて、内臓がお腹の前側に出てくるのに対して膨らんでこないように制御をする必要があります。
この制御する働きをするのが腹横筋という筋肉です。
腹横筋は腹巻きのようにお腹の周りをぐるっと取り込んでいる筋肉です。
腹横筋は呼気時の呼吸補助筋です。
息を頑張って吐ききるときに補助的に働く筋肉なので、息を吐くことを意識すると腹横筋の収縮を高めることになります。
ピラティス呼吸はこの筋肉を持続的に働かせることがポイントです。
一般的にピラティスの効果として言われるような
「ピラティス呼吸をするとお腹がひきしまって凹む」
「お腹のインナーマッスルが鍛えられる」
ということにつながってくるのです。
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過剰な息を吐く練習はしないほうがいい
ここで注意をしたいことがあります。
上記のように、息を吐くときに腹横筋を働かせることができます。
これを利用したのが有名な「ドローイン」といわれるトレーニング方法です。
ドローインは「腹横筋の収縮を高めて腰部の安定性を高めることで、腰痛予防をしましょう!」といったような使われ方をします。
しかしながら、一生懸命に息を吐く練習をすればいいというとそうゆうわけではなく、適切に行わないと逆効果にもなります。
腹部を収縮させて体幹を安定させればよいという短絡的な発想の元に行ってしまうと様々なトラブルの原因となります。
腹横筋の働きは非常に重要であることは間違いありませが、ただ固めればいいとうわけではありません。
よって、ピラティス呼吸をする場合に息を吐くときに「頑張ってお腹を凹ませる」ことはしなくてよいと思います。
息を吸っても「お腹を膨らませないようにコントロールをする」という意識が適度に腹横筋を持続的に働かせることに繋がると考えられます。
ピラティス呼吸の練習方法
胸郭を外側に広げてゆくときに、自分ではなかなかうまく意識ができない場合があります。
こんなときに、自分でもできる練習方法があります。
セラバンド(ゴムチューブ)を胸に巻いてみましょう。
セラバンドを下部胸郭の位置に巻いて軽く締めるようにすると、ゴムの適度な弾力性が抵抗になり「この部分を広げるんだ!」という感覚がわかりやすくなります。
セラバンドは最初は抵抗の軽い柔らかいタイプをお勧めします。
あまり抵抗を強くしてしまうと、無理して息を吸うことで肩や首の筋肉を過剰に働かせる代償運動が入ってしまいやすくなります。
背中で呼吸をしてみよう
胸を外側に広げてゆく呼吸ができるようになってきたら、今度は背中で呼吸をしてみることを練習してみましょう。
「背中で呼吸する!?」
最初は意味がよくわからないと思います。
腹式呼吸でも基本的にはお腹を前側に膨らますことを意識するため、背中を意識することはほとんどないかもしれません。
しかし実は、人の呼吸は背中側のほうが横隔膜が大きく動くのです。
背中を意識して背中を広げてゆく練習をしてゆくと肺が大きく膨らみ、効率のよい呼吸が行えるようになります。
さらに、胸郭や脊柱の柔軟性を高めるにも効果的な練習方法となります。
背中で呼吸をする方法①
うつ伏せ姿勢(腹臥位)で呼吸をします。
うつ伏せになると、お腹側が床で圧迫されるため膨らませにくくなります。
一方で、背中はフリーな状態になるため広げやすい姿勢です。
仰向け姿勢(背臥位)では横隔膜を上方へ押し上げるようにして腹部臓器(内臓)が呼吸運動に伴う横隔膜の下降を抑制してしまうのです。
うつ伏せ姿勢では、重力で腹部臓器が下方に移動するため、横隔膜の動きは抑制から解放され大きな動きができるようになります。
うつ伏せ姿勢は、背中側の横隔膜をしっかりと使うようにするにはぴったりの姿勢なのです。
背中で呼吸する方法②
座位姿勢で体を丸めるようにして呼吸をする方法です。
動画ではバランスボールを抱えて腕の重さをボールに預けてリラックスした状態にしています。
この姿勢ではあえて、体を丸めてお腹側に空気を入れてゆくことを抑制しています。
結果として、空気はスペースのある背中側に入ってゆくしかないので「背中で呼吸する」感覚が得られやすくなります。
この姿勢で上記のセラバンドを下部胸郭に巻いたり、手で確認をしながら行うと、さらに意識が高まるかと思います。
通常の腹式呼吸ができずに、自然と胸式呼吸になってしまう人はやや問題ありです。
まずは腹式呼吸を練習しましょう。